Jetson Orin Nano 初期設定 JetPackインストール手順【2025年最新】
Jetson Orin Nanoを購入したけれど、最初の設定で何をすればいいか分からない——そんな方向けに、JetPackのインストールから初回起動までの手順を実機で確認しながらまとめました。
この記事でわかること
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必要なものを揃える
作業を始める前に、以下のものを手元に用意してください。
ハードウェア
ソフトウェア(作業用PC側)
ストレージについて補足しておくと、microSDカードは読み書き速度がシステム全体のレスポンスに直結します。安価な低速カードを使うと、起動やアプリの動作がかなりもたつくため、転送速度が100MB/s以上のカードを選ぶことをおすすめします。
のちのち用途が広がってきたらNVMe SSD Western Digital SN770 500GB NVMe(Amazon) への移行も検討に値します。体感速度が大きく変わります。
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JetPackイメージのダウンロードと書き込み
イメージのダウンロード
NVIDIAの公式サイトからJetson Orin Nano用のJetPackイメージを入手します。
1. NVIDIA JetPack SDK にアクセスする
2. 「Jetson Orin Nano Developer Kit」向けのSDカードイメージを選択する
3. 2025年時点の最新版は JetPack 6.2.1 系(L4T R36.4.x ベース)
ファイルサイズは圧縮状態で約7〜8GBあります。回線状況によっては時間がかかるため、時間に余裕があるときにダウンロードしておくと安心です。初回はQSPIブートローダーの更新が必要な場合があるので、SDK Manager併用を検討してください。
microSDカードへの書き込み
ダウンロードしたイメージをmicroSDカードに書き込みます。Balena Etcherを使うと直感的に操作できます。
1. Balena Etcher を起動する
2. 「Flash from file」でダウンロードしたzipファイルを選択する(解凍不要)
3. 「Select target」で書き込み先のmicroSDカードを選択する
4. 「Flash!」をクリックして書き込みを開始する
書き込みとベリファイ(検証)合わせて15〜25分ほどかかります。完了したらPCからmicroSDカードを取り外してください。
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Jetson Orin Nanoへの挿入と初回起動
microSDカードの挿入
Jetson Orin Nanoのmicroスロットは本体裏面(ヒートシンク側とは逆面)にあります。カードの向きに注意しながら、カチッと音がするまで差し込んでください。
このとき電源は必ず抜いた状態で作業します。活線挿抜(電源を入れたまま抜き差しすること)はカードやデータ破損の原因になります。
電源投入と初回起動
モニター、キーボード、マウスを接続してから電源を入れます。
初回起動は通常の起動より時間がかかります。画面に何も表示されない時間が1〜2分続くことがありますが、慌てて電源を切らないでください。ファイルシステムの展開処理が行われています。
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OOBEの設定(初回セットアップウィザード)
初回起動が完了するとOOBE(Out-Of-Box Experience)と呼ばれるセットアップ画面が表示されます。
設定項目は以下の通りです。
1. 使用許諾(EULA)への同意
2. 言語・キーボードレイアウトの選択(日本語キーボードを使う場合は「Japanese」を選択)
3. タイムゾーンの設定(Asia/Tokyo)
4. ユーザー名・パスワードの設定
5. NVIDIAへの使用統計送信の選択(任意)
ユーザー名とパスワードはSSH接続やsudo操作にも使うため、忘れないように管理してください。
OOBEが完了するとデスクトップ(Ubuntu 22.04 LTS ベース)が表示されます。
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インストール後に最初にやっておく設定
デスクトップが起動したら、すぐに以下の作業を行うことをおすすめします。
システムのアップデート
sudo apt update && sudo apt upgrade -y
sudo apt install nvidia-jetpack -y
JetPackイメージのリリース後に各種パッケージが更新されていることがあります。初回は時間がかかりますが、セキュリティ面からも必ず実行してください。L4T 36.4.7へのアップデート時はブラウザ起動不良の既知問題に注意。
JetPackのバージョン確認
dpkg -l | grep "nvidia-jetpack"
以下のような出力が確認できれば正常にインストールされています。
ii nvidia-jetpack 6.2.1-b0 arm64 NVIDIA Jetpack Meta Package
電力モードの確認・変更
Jetson Orin Nanoは複数の電力モード(パワーモード)を持っています。用途に合わせて変更できます。Super Developer Kitは最大67 TOPSの性能を発揮。
sudo nvpmodel -q
現在のモードが確認できます。最大性能で使いたい場合は以下のコマンドを実行します。
sudo nvpmodel -m 0
sudo jetson_clocks
jetson_clocks はCPU・GPU・メモリのクロックを最大値に固定するコマンドです。高負荷な推論処理をさせる場合には有効ですが、発熱も増えます。冷却対策 Noctua NF-A4x10 5V PWMファン(Amazon) も合わせて検討してください。
SSHの有効化(リモート作業用)
sudo systemctl enable ssh
sudo systemctl start ssh
IPアドレスを確認して別のPCからアクセスできるか試しておくと、以降の作業がぐっと楽になります。
ip addr show
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つまずきやすいポイントと対処法
画面が映らない
HDMIケーブルの接続をもう一度確認してください。モニターの入力切替が正しいかも確認ポイントです。Jetson Orin NanoはDisplayPortアダプター経由では映らないケースが報告されています。標準のHDMIケーブルを直接接続するのが確実です。
書き込んだSDカードで起動しない
ファイルシステムの検証が失敗しているケースがあります。再度Etcherで書き込み直してみてください。また、SDカードの相性問題が起きることもあるため、別のカードで試すのも有効です。初回はQSPIブートローダ更新のためSDK Manager推奨。
apt upgradeでエラーが出る
NVIDIAのリポジトリへの接続に失敗するケースがあります。一時的なネットワーク問題のことが多いため、数分待ってから再実行すると解決することがほとんどです。JetPack 6.2.1アップデート後のL4T問題時は公式パッチを待つか回避策を確認。
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まとめ
Jetson Orin NanoへのJetPackインストールは、microSDカードへのイメージ書き込みとOOBEの設定という2つのステップが核心です。手順自体は複雑ではありませんが、書き込み時のカード選びと初回起動時の待機がつまずきポイントになりやすい部分です。
インストールが完了したら、まずシステムのアップデートと電力モードの確認を行い、その後に自分のやりたいことへと進んでいきましょう。
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次はこちら
初期設定が終わったら、次はJetsonの実力を体感できる活用に踏み込んでみましょう。

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